「げんかい」394号・今月のアルバム拝見  ~矢羽田教昭氏の戦後記念切手~

2003.5.4発行

今回紹介したのは戦後の記念切手で、小型シート、シリーズもの、特殊切手は別にしている。収集はじめの頃、多くの人がそうだったと思うが、記念切手を未使用で1枚ずつ集めていた。カタログ収集が進むにつれ、戦前の未使用切手は高額のため収集が難しくなってくる。代用として使用済みを挿入するが、未使用と使用済みの混在は見栄えが良くない。では、全部使用済みにしよう。と、使用済み収集を始めた。私の場合、消印を意識して集めたのは普通切手より記念切手が先である。初めに目指したのは唐草印による完集。基本額面が15円時代以降はある程度は集まったが、それ以前は難しい。唐草印が揃わないものは櫛型満月の初期使用を目指した。唐草の方は外信額面が難しく、戦後間もない頃の櫛型の良消しもなかなか困難である。

使用済みの場合、一枚一枚は決して高くないが、状態の良いもの、満足行くかかりの良い消印ものはなかなか少ない。また、昨今の現行切手の高騰の余波で機械印等は、ものによってかなり高くなっているものがある。

中でも1966年発行の国立劇場開場(図1)や1969年発行の万国郵便大会議(図2)等は良消しが少なく人気が高い。

最初の頃より読めるものが増えた。消印にもこだわった。たとえば、図案に対して正位であるか。図案を汚してないか。人物の目を隠していないか。
ところで、今回紹介したリーフは5.6年前にも一度見ていただいたのだが、当時より穴がかなり埋まったので再度紹介した次第。
リーフはハウイドマウントを貼り付けていて、使用済みにはもったいないように思えるが、振り返ってみると、当時(収集初期)のリーフがそのまま利用でき ており、かつ、切手をヒンジ貼りしないため、切手も痛まない利点がありかなり気に入っている。
まだ、未使用が入っている箇所、消印が読めないもの等があり、まだまだ完集まで道程は長い。

戦後の記念切手は1946年(昭和21年)12月に発行された郵便創始75年記念切手から。
リーフ構成は使用済みのみでレイアウトは自己流。
一部未使用切手が入っている。
ハウイドマウントを使用し消印の良いものが入る都度差し替えている。

第1リーフは消印どころか使用済みを探すのも一苦労。
この第2リーフでも赤十字のやまがらがまだ入手出来ていない。
地方博の高松は高松局の消印が入手でき満足している。
記念切手には小型シートが存在するがリーフには入れていない。

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このリーフの頃になると消印集めも楽になってくる。比較的早い時期の消印が多い。

概ね発行順に並べているがリーフ構成上前後しているものもある。
初期のものは難しいが機械印を意識して収集している。

このリーフの頃は機械印が豊富。出来るだけ早い時期のものを集めたい。

げんかい392号・今月のアルバム拝見 ~田畑裕司氏の第3次昭和切手と収入印紙の使用済シート~

2月の例会は、天野安治・本部長も出席されるので、入手したばかりの第3次昭和切手4点と収入印紙1点の使用済シートを見ていただくため、これらを持参していました。ところが、出席してみると、コレクション紹介の輪番を決めていなかったとのことで、これ幸いということで、これらの使用済シートを急きょ出席者全員にご覧いただきました。そのため、アルバム・リーフにも入れておらず、切手を裸のままで机の上に並べ大変失礼いたしました。


さて、今回入手した使用済シートは、いずれもアメリカの切手商の在庫から直接購入したものです。額面は、第3次昭和の5銭、10銭、20銭、50銭および収入印紙5銭の5シートで、写真図版は、このうち第3次昭和の10銭を除くシートをご覧いただきます。用紙はすべて粗紙です。銘版は第3次昭和の10銭と収入印紙5銭が中字で、あとは小字です。消印は、いずれも「仙台花京院通 21.6.1」の櫛型日付印が押されています。5銭、20銭および50銭がC欄3星で、10銭と収入印紙5銭がC欄為替ですが、3星とかわせ印では、局名の字体が違います。アメリカの切手商の在庫には、あと10銭のみ2シート、同種のものがあるとのことでしたが、それは購入しませんでした。50銭のシートの裏面には「小包」のゴム印が押してありました。
第3次昭和10銭、20銭および50銭の別納使用済シートは、時々見かけます。私がなぜこれらのシートを買ったかというと、先ず消印が当時としては極めて鮮明で、日付けが昭和21年7月24日以前だったからです。この年の7月25日には郵便料金が大幅に値上がりして封書の基本料金も10銭から3倍の30銭になりましたので、郵便料金値上げ前の日付けのものは、高額の使用になるため使用済ブロックですら少ないのです。そして、これらの3額面は、いわゆる追放切手(昭和22年8月1日以降使用できない措置)にならなかったので、昭和23~24年以降の別納使用済シートが残っていて、年号が後になればなるほど有り難味が薄れるのです。追放切手になった5銭の使用済シートは、なおさら貴重です。ただし、未使用が多く残っているため、確か「日進」の局名を持つ後消しまたは偽消しとの疑いが持たれる5銭の使用済シートを、かつて見たことがありました。

 収入印紙5銭について、天野・本部長をはじめ出席者のご意見では、「昭和21年6月であれば、切手が不足して、郵便局で切手の代用として収入印紙を使用したとは考えにくい。多分、利用者が別納用に持ちこんだシートの中に収入印紙も紛れ込んでいて、使用されたものであろう。」とのことでした。
第3次昭和切手は、定常変種が多くの位置にあるので、これからどのように整理しようか考えているところです。